Windowsファイル共有サーバのクラスタ化
クラスタ化の概要
Windowsファイル共有は、一般的にはWindows Serverを使って行われます。しかし、Windows Serverのクラスタ製品は一般的ではありません。Linux上で動作するSambaとOSSのクラスタソフトウェアを組み合わせることで、Windowsファイル共有のサーバを冗長化することができます。
クラスタ化のポイント
Windowsファイル共有サーバをクラスタ化する場合には、次のような点を考慮する必要があります。
アカウント情報の共有
Windowsファイル共有では、Windowsのユーザ認証システムであるActive Directoryと連携することで便利に利用することができます。
データ共有の方法
共有ファイルシステムに保管される情報をノード間で共有する必要があります。
データの冗長性
データのバックアップや冗長性について考慮する必要があります。
クラスタシステムの構築例
Windowsファイル共有の仕組みは、SambaとHAクラスタの仕組みを使って冗長化できます。データ部分も冗長化する必要があるため、ネットワークミラーリングを採用するケースがほとんどです。
次は、一般的な構成例です。
- クラスタサーバ上で、Sambaサービスを稼働させます。
- 共有データは、外部ディスクなどの大容量ストレージに保管します。
- DRBDを使ってクラスタノード間でミラーリングし、データの冗長性も確保します。
- ユーザ、パスワードなどのユーザ管理情報は、Active Directoryに接続して共有します。
OSSでクラスタ化するメリット
Windowsファイルサーバとしては、ディスクメーカーから大容量の製品が販売されています。安価なものから高価なものまで、様々な製品があります。しかし、冗長構成を取ることができる製品は限られていて、とても高価です。
これに対して、OSSを使ってWindowsファイル共有のサーバをクラスタ化すると、次のようなメリットがあります。
データの冗長性を容易に確保できる
ネットワークミラーリングを使えば、データの冗長性も容易に確保することができます。
比較的安価に高速なストレージを入手できる
安価なWindowsファイル共有ディスクの製品は、比較的性能が低く、あまり多くのユーザから共有することができません。IAサーバを使ってWindowsファイル共有サーバを冗長化することで、比較的低価格で安定したサーバを作ることができます。
ベンダーロックインしない
完全にオープンな技術だけを使って動作します。ディスクベンダーの製品戦略に左右されず、安定して使い続けることができます。
クラスタ化の注意事項
Windowsファイル共有では、Active Directoryとの連携を行うことがほとんどです。そのため、次のような点に十分に注意する必要があります。
- Active Directoryの冗長化
Active Directoryが冗長化されていないと、単一障害点になってしまいます。 - Active Directoryの障害や停止
Windows Serverは、セキュリティアップデートなどで頻繁に再起動が必要です。そのため、Active Directoryが停止する時の運用には、十分に注意する必要があります。 - ベンダー選定の注意
一般的に、WindowsとLinuxの両方を扱える技術者は希少です。そのため、Active DirectoryとOSSクラスタソフトウェアの両方を扱えるベンダーは、極めて限られています。